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「問題絶えないオンラインゲーム」 甘い対策、射幸心あおる
産経新聞 3月24日(日)7時55分配信
スマートフォンなどを使って遊ぶ「オンラインゲーム」をめぐり、未成年者が高額請求を受けて問題になるケースがいまなお、増え続けている。ゲームに登場する希少アイテムを手に入れるために有料のくじを引く課金システムが「射幸心をあおる」と批判されたため、業界は自主規制に乗り出したものの、効果は限定的だ。ユーザー側からは「対策が不十分」という声が上がる。(西尾美穂子)
◆小学生の息子が…
「オンラインゲームで1カ月に40万円も!」。近畿地方の男性は、クレジットカード会社から届いた請求書を見て卒倒した。心当たりはなく、最初はカードの磁気データを盗み取られ悪用されるスキミング被害を疑った。
ところが、実際は違った。小学生の息子がタブレット端末を使ってオンラインゲームで遊んだ際に発生した利用料だった。息子は勝手に親名義のカードを支払いに使用。希少アイテムを取るため、有料のくじを繰り返し引き続けていたとみられ、男性は2月初めに消費生活センターに相談した。
◆景品表示法抵触も
同じように子供のオンラインゲームの高額利用に驚き、全国の消費生活センターに寄せられた相談は急増している。平成21年度に1437件だったのが、23年度には3505件に増加。それに合わせて未成年者の相談件数も378件から781件に倍増した。
有料くじを引いて絵柄の違うカードをそろえると希少アイテムが手に入る「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」が利用者の射幸心をあおり、「際限なく」有料くじを引いてしまうためで、消費者庁は事態を重視、昨年5月に景品表示法に抵触する可能性があると指摘した。
大手ゲーム各社はコンプガチャを自主規制するとともに昨年3月、18歳未満の利用限度額を「月1万円以下」と申し合わせるなど対策を講じた。
ところが、相談は減るどころか、今年度は4854件とさらに増加している。このうち、未成年者の相談は1077件で、その半数以上の680件が小中学生の利用だった。
◆1アイテム10万円
なぜ、相談が一向に減らないのか。
消費者庁によると、子供が親の知らない間に親名義のカードでゲーム代を決済したり、年齢を偽って登録したりするのが一因という。こうした場合、業界関係者は「正直、対策の取りようがない」と話す。
しかし、それ以上に、ゲーム業界側の対策の甘さを指摘する声は根強い。
多くのゲーム会社はコンプガチャの自主規制とともに、希少アイテムを手に入れるために際限なくくじを引くことがないように、上限を設けたくじを導入した。だが、多くのゲームでは、1回のくじで300円前後がかかり、上限は300回を超える。300回余り引き続ければ必ず当たるとはいえ、最悪の場合、お目当てのアイテム一つのために、計10万円以上を注ぎ込むことになる。
しかも、「ゲームは無料」と宣伝しながら、結局は有料のアイテムがないと楽しめない方法が今も続いており、今年度の未成年の相談のうち約3割の305件がこうした仕組みにからむものだった。
消費者庁は改善後のくじについて、「コンプガチャと形は違っても、子供の射幸心をあおっている面がないとは言い切れない。法律に抵触する可能性の有無にかかわらず、長くサービスを続けるためにも、自主的に対策を講じてほしい」と業界に注文している。
■相談増加背景に市場の急拡大も
オンラインゲームに関する相談が増加の一途をたどる背景には、市場規模の急拡大に伴う利用者の増加もあるとみられる。
日本オンラインゲーム協会(JOGA)が昨年、公表したオンラインゲームの市場統計調査によると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で展開され、利用者同士が交流できる機能を持つ「ソーシャルゲーム」の市場規模は、平成19年に4億円だったが、4年後の23年には約700倍の約2800億円となり、ここ数年で急拡大。今後も成長する分野とみられる。
ネット犯罪に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑事法)は「利用料の高額請求だけでなく、出会い系サイトなど未成年者をめぐる問題が年々増えている。ネット業界の業者は、『もうかればいい』という発想ではなく、急成長の中でも社会的責任を果たす姿勢が大事」と指摘する。
■テーマを募集
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03・3275・8750
◆小学生の息子が…
「オンラインゲームで1カ月に40万円も!」。近畿地方の男性は、クレジットカード会社から届いた請求書を見て卒倒した。心当たりはなく、最初はカードの磁気データを盗み取られ悪用されるスキミング被害を疑った。
ところが、実際は違った。小学生の息子がタブレット端末を使ってオンラインゲームで遊んだ際に発生した利用料だった。息子は勝手に親名義のカードを支払いに使用。希少アイテムを取るため、有料のくじを繰り返し引き続けていたとみられ、男性は2月初めに消費生活センターに相談した。
◆景品表示法抵触も
同じように子供のオンラインゲームの高額利用に驚き、全国の消費生活センターに寄せられた相談は急増している。平成21年度に1437件だったのが、23年度には3505件に増加。それに合わせて未成年者の相談件数も378件から781件に倍増した。
有料くじを引いて絵柄の違うカードをそろえると希少アイテムが手に入る「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」が利用者の射幸心をあおり、「際限なく」有料くじを引いてしまうためで、消費者庁は事態を重視、昨年5月に景品表示法に抵触する可能性があると指摘した。
大手ゲーム各社はコンプガチャを自主規制するとともに昨年3月、18歳未満の利用限度額を「月1万円以下」と申し合わせるなど対策を講じた。
ところが、相談は減るどころか、今年度は4854件とさらに増加している。このうち、未成年者の相談は1077件で、その半数以上の680件が小中学生の利用だった。
◆1アイテム10万円
なぜ、相談が一向に減らないのか。
消費者庁によると、子供が親の知らない間に親名義のカードでゲーム代を決済したり、年齢を偽って登録したりするのが一因という。こうした場合、業界関係者は「正直、対策の取りようがない」と話す。
しかし、それ以上に、ゲーム業界側の対策の甘さを指摘する声は根強い。
多くのゲーム会社はコンプガチャの自主規制とともに、希少アイテムを手に入れるために際限なくくじを引くことがないように、上限を設けたくじを導入した。だが、多くのゲームでは、1回のくじで300円前後がかかり、上限は300回を超える。300回余り引き続ければ必ず当たるとはいえ、最悪の場合、お目当てのアイテム一つのために、計10万円以上を注ぎ込むことになる。
しかも、「ゲームは無料」と宣伝しながら、結局は有料のアイテムがないと楽しめない方法が今も続いており、今年度の未成年の相談のうち約3割の305件がこうした仕組みにからむものだった。
消費者庁は改善後のくじについて、「コンプガチャと形は違っても、子供の射幸心をあおっている面がないとは言い切れない。法律に抵触する可能性の有無にかかわらず、長くサービスを続けるためにも、自主的に対策を講じてほしい」と業界に注文している。
■相談増加背景に市場の急拡大も
オンラインゲームに関する相談が増加の一途をたどる背景には、市場規模の急拡大に伴う利用者の増加もあるとみられる。
日本オンラインゲーム協会(JOGA)が昨年、公表したオンラインゲームの市場統計調査によると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で展開され、利用者同士が交流できる機能を持つ「ソーシャルゲーム」の市場規模は、平成19年に4億円だったが、4年後の23年には約700倍の約2800億円となり、ここ数年で急拡大。今後も成長する分野とみられる。
ネット犯罪に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑事法)は「利用料の高額請求だけでなく、出会い系サイトなど未成年者をめぐる問題が年々増えている。ネット業界の業者は、『もうかればいい』という発想ではなく、急成長の中でも社会的責任を果たす姿勢が大事」と指摘する。
■テーマを募集
世間の関心を集めるテーマを深掘りし、大胆に読み解く「『深・裏・斜』読み」を日曜日に掲載します。取り上げてほしいテーマがあれば、「ニュースの窓口」にお寄せください。
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最終更新:3月24日(日)10時42分
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